155: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/04/07(日) 14:13:10.40 ID:NdD66LHM0
「それに関しては、何の説明もなく連れて来る遊び人が悪いじゃないか」
「突然、目の前に魔王によく似た男がいたんだぞ。俺が何年、魔王を追い続けてるか知っているのだろう?」
「一理あるわ」
一理どころか、百理も二百理もあるわ。
遊び人は、まるでそのことに考えが及ばなかったとばかりに一頻り頷いてみせた。
「もう一度だけ応えて。あなたは魔族が憎い?」
「ミノ達の件は、それが必要だったからだ。当時の俺には、魔物を殺さないでおく余裕も魔物たちから情報を引き出す術もなかった。決して魔族憎しで動いているわけじゃない」
「でも、彼らが人間だったとしたら殺さないし。拷問もしないんじゃないの?」
まあ、その通りだ。
魔族と人間の違いは、その膂力の大きさにある。
例え子供の姿をしていようが、俺を殺し得るポテンシャルをもっている。それが魔族だ。
「魔族は、人間とは違う。だから対応も違ってくるは当然だ」
「魔族は危険だってこと?だったらそれは人間だって同じじゃない」
「度合いが違うだろ」
「……」
「なあ、結局のところ何が言いたいんだ」
「私は、あなたに魔族を嫌ってほしくない」
「ごく普通に、人間とそうするように接してほしい」
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