154: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/04/07(日) 14:12:42.69 ID:NdD66LHM0
「魔王が……いえ、魔物がそんなに憎いのね?」
ほら生まれた。おんぎゃーおんぎゃー。
「そんなことはない」と、とっさに否定を試みる。
「そんなことなくはないでしょ。初めて出会ったあの夜のことを忘れたの?」
マスターの眉が片方だけピクリと動いた。
おいおい、「初めて出会ったあの夜」なんて艶めかしい言い方するから、マスターにもあらぬ誤解が生じたかもしれんぞ。
「変な言い方をするなよ。初めて、魔王残党の密造酒倉庫に忍び込んだ時の話だよな!」
「……何かあったっけ?」
「キミはミノタウロス達を躊躇なく殺そうとしたじゃない、あまつさえ拷問すらしようとした」
「そ、それは」
「それにさっきだって、私が止めてなければ君はマスターに切りかかっていたでしょ!」
「……そうだが」
ちがう、そうではない。いや、そうであるのだが事情が事情だ。
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