152: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/04/07(日) 14:11:21.59 ID:NdD66LHM0
切り出したのは、彼女からだった
「ねえ勇者。キミは魔王にあったらどうするの?」
立ち上がりは静かなジャブから。
俺は、彼女の質問の意図を探るように回らない頭を回してみる。カランカランと音がする。まるで氷の入ったグラスのようだ。
結局は、回らないものは回らないと諦め、対外的にバツの悪くない答えを返す。
「魔王を倒すのが勇者の仕事だ」
「はぐらかさないでよ。倒すってのは殺すって意味?」
「場合によっては」
「じゃあ、魔王が人に無害になっていたとしたら殺さないでいてくれる?」
彼女は何を言いたいのだろうか。
「彼らは一度滅んだ。キミの手によってね。でも、今はただの酒の密売人組織じゃない」
「犯した罪は消えない。かつて魔王は世界を混乱に導いた」
「それって王国も同罪じゃない。所詮は国同士の戦争よ、魔王個人に罪を背負わせるなんて道理じゃない」
「元騎士の君がそれを言うのか」
「……少なくとも、キミに魔王を殺されるってのは許容できないかな」
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