藤丸立香「あなたたち、どうせ死んでたんだから」
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5:名無しNIPPER[saga]
2018/05/05(土) 23:38:34.36 ID:099CA5/+O
「異聞帯を溶かして、その魔力でさらに多くのサーヴァントを呼び出して。最後はあの神様とやらを殺して、それを使って世界をもとに戻す」
「……不可能だ。あれは、僕らが勝てるものじゃない。あれは──」
その言葉に、カドックが言おうとしたなにかに、立香の表情がはじめて崩れた。
笑みから、怒りに変わった。
「だから諦めて降伏したの」
「っ、そうじゃない!」
「じゃあ何で世界を滅ぼした相手に従ってるの。違うと思うなら反抗すればいい、無理だとわかってても立ち向かうべきだった」
「それは」
「お前の親玉が殺し尽くした68億の命の前で胸を張ってそれを言える? 勝てそうになかったので皆が死ぬのを黙って見過ごして、皆の死体の上に新しい国を作りますって」
彼女は、この期に及んで怒っていた。目の前の男の不甲斐なさに。自分はどうしようもなくたって立ち向かったのにと。
それは全うなものだ。必死で積み上げたものをすべて崩した相手に恭順を示したのが、よりによって本来自分の代わりにそれを積み上げるべき人間だったのだから。
「でも、いいよ。それも全部私たちが終わらせる。私たちが救うから、あなたはそこで見ていてね」
「黙れ、僕は!」
「来て、皆」
彼女が魔力を注ぎながらそうささやくと、カドックの声がかき消されるほどの騒音が機械から駆動する。
呼び出されるのは悪であるものたち。
殺すことを厭わない、英雄であるが悪であると定義付けられたものたち。
それが、次々に大地に降りたつ。
その筆頭は、旗を掲げた黒い聖女だった。
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