97: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/02(土) 10:38:12.57 ID:Y+SAhLWq0
「えっと、なにかお話があったとかでは?」
「ううん、私はただ、ほたるちゃんとお茶したかっただけだよ。このお店ね、ひとりではよく来てるけど、いっしょに来たのはほたるちゃんが初めてなんだ」
少し意外に感じた。夕美さんは交友関係が広く、ひとりでいるところを見た記憶がほとんどない。事務所のアイドルにはカフェ巡りを趣味にしてる人もいるし、お気に入りのお店なら真っ先に紹介してそうなものだけど……
「藍子さんとか、琴歌さんとも来ていないんですか?」
「うん、それに私のところのプロデューサーさんも、連れてきたことないね」
「どうしてです?」
「私ね、みんなといっしょにいるのも楽しいけど、ひとりの時間も好きなんだ。何の気兼ねもなく、ひとりきりでリラックスしていられる秘密の場所っていうのかな? だから誰にも教えないの」
「だったらなおさら……なんで私をつれてきたんですか?」
「なんでだろうね?」
はぐらかしているという感じはしなかった。本気で「そういえばなんでだろう?」と疑問に思っているみたいだった。
「私はそんな深く考えて行動してないよ。ほたるちゃんとこのお店に来たいなって思ったから、そうしたの」
ウエイターさんがワゴンを押してきた。パンケーキが3枚盛られたお皿、それに耐熱ガラスらしい透明のポットと、白いカップがふたつ乗っている。
テーブルに置いたカップに、淡い黄色の液体が注がれる。ちょうど2杯分の分量が入っていたらしく。空になったポットはワゴンに戻していった。
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