9: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/04(金) 23:19:02.70 ID:GasL4mJG0
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ひどく喉が渇いていた。
辺りを見回し、すぐ目の前の公園に飲み物の自動販売機があるのを見つける。
重い足取りでそれに近づき、財布を開く。小銭の持ち合わせがなく、千円札を投入した。吸い込まれていった紙幣は、機械に認識されず、投入口から戻ってくることもなく、どこかに消えてなくなった。
私は、もたれかかるように自販機に額をぶつけた。この衝撃でお金が返ってこないかと、淡い期待を込めて。
もちろんそんなことはなく、ただ痛いだけだった。
私はどうして、いつもこうなんだろう。
これでも、一生懸命がんばった。
アイドルになりたくて。いつか見たあの人のように、みんなに幸せを届けてみたくて。
……幸せになりたくて。
だけど、もう、疲れてしまった。
鼻の奥がツンと痛くなり、涙がこみ上げてくるのを自覚する。
あきらめなければ夢は叶うなんて嘘だったよ。
がんばってもがんばっても、いいことなんて、なにもなかったよ。
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