白菊ほたる『災いの子』
1- 20
9: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/04(金) 23:19:02.70 ID:GasL4mJG0
   *

 ひどく喉が渇いていた。

 辺りを見回し、すぐ目の前の公園に飲み物の自動販売機があるのを見つける。
 重い足取りでそれに近づき、財布を開く。小銭の持ち合わせがなく、千円札を投入した。吸い込まれていった紙幣は、機械に認識されず、投入口から戻ってくることもなく、どこかに消えてなくなった。
 私は、もたれかかるように自販機に額をぶつけた。この衝撃でお金が返ってこないかと、淡い期待を込めて。
 もちろんそんなことはなく、ただ痛いだけだった。



 私はどうして、いつもこうなんだろう。



 これでも、一生懸命がんばった。
 アイドルになりたくて。いつか見たあの人のように、みんなに幸せを届けてみたくて。

 ……幸せになりたくて。

 だけど、もう、疲れてしまった。



 鼻の奥がツンと痛くなり、涙がこみ上げてくるのを自覚する。



 あきらめなければ夢は叶うなんて嘘だったよ。

 がんばってもがんばっても、いいことなんて、なにもなかったよ。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
202Res/248.44 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice