74: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/23(水) 18:01:31.38 ID:XzeV2oVA0
「私このあと少し時間空くから、周子ちゃんのお見舞いに行こうと思ってるんだけど、ほたるちゃんも行く?」
レッスンが終わったころ、夕美さんが言った。
「いえ……私なんかが行ったら、治るものも治らないと思うので……」
実は何度か行ってみようかと思ったことはある。
病状も気になっていたし、私が代役を務めさせてもらうことになったと報告もしたかった。
同じ建物に住んでいるのだから、行こうと思えばいつでもすぐに行けた。
だけど、お見舞いに行った私の不幸でなにかよくないことが起きてしまったら、「お前は、なにをしにきたんだ」という話だ。とどめでも刺しにきたのかと。
「そんなことないと思うけどなあ」
夕美さんが苦笑する。それから「うーん」と少し考え込むような仕草をして、
「ねえ、ほたるちゃん。明日ってどんな予定になってる?」と言った。
「お仕事とかはないです、自主レッスンでもしていようかと」
「そっか、じゃあ私とデートしない?」
夕美さんが、にっこりとほほ笑む。
「デ……えええええ!?」
自分でも驚くくらいの大声が出た。
「ええと……私もオフだから、いっしょにお出かけしない? ってことなんだけど……そんなに驚くことだったかな?」
「そ、そうですよね、ふつうですよね。もちろんだいじょうぶです、はい」
「よかった、じゃあまたあとで連絡するね」
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