白菊ほたる『災いの子』
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72: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/23(水) 17:58:20.56 ID:XzeV2oVA0
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 志希さんと夕美さんはお仕事の予定が多く入っているため、合同レッスンがとれる日はあまり多くない。
 2回目の集まりは最初の合同レッスンから3日後のことで、この日は集合時間になっても、志希さんが姿を現さなかった。

「あの、志希さんは……?」

 私は夕美さんに問いかけた。

「来てないね、電話も出ないし。今日は来ないかな?」

 スマートフォンを片手に夕美さんが答える。

「もしかして……私のせいでなにか……」

 夕美さんは笑って首を横に振った。

「志希ちゃんはよくサボるから、いつものことだよ」

「え……本当ですか?」

「うん、志希ちゃんには、ホントはレッスンなんて必要ないだろうからね」

 それは、夕美さんもだろうと思う。
 前回、今度のライブに向けてのレッスンとしては初回だったにもかかわらず、夕美さんのパフォーマンスは私の目にはそのままステージで披露したとしても問題ない出来映えに見えた。聖さんも、「文句なし」ということなんだろう、夕美さんに対してはコメントがほとんどなかった。
 たぶん、このレッスン自体が、ほとんど私のためだけに組まれているんだと思う。
 全体曲でも、ふたりはぴったりと息が合っていた。というより、ふたりが私に合わせてくれていた。最初の1回目から、聖さんの細かな指摘はいくつかあったけど、不思議なほど気持ちよく歌うことができた。もしかしたら志希さんは前回私と合わせられるかを試しにきていて、あれでもう十分だと思ったのかもしれない。


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