白菊ほたる『災いの子』
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62: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/23(水) 17:41:20.71 ID:XzeV2oVA0
 私は「はあ」と言って、あいまいにうなずいた。

「というわけで、審査の基準となる項目を決めて点数をつけることにしたんだね。これでも完全な私情の排除なんてできないけど、審査結果比べてみたら、プロデューサー勢も含めて、だいたい一致してたよ」

 なるほど、よく考えてるんだなあ、と感心した。
 だけど、私が気にしているのはそういうことではなく、

「その……私、不幸体質で、みなさんに迷惑をかけてしまうんじゃないかと」

「ああ、有名だよね。夕美ちゃんは知ってる?」

「うん、詳しくは知らないけど、ほたるちゃんがそう言ってるってのは聞いてるよ」

「知ってるのなら、どうして私を入れたんですか? こんなだいじなライブに……私のせいでなにかあったら……」

「評価シートに、そんな項目はないから」と志希さんが言って、「そうだね」と夕美さんがうなずく。

 あまりに平然とした反応で、私はぽかんとしてしまった。

「そういえば、志希ちゃんはそういうの信じるの?」

「ん? そういうのって?」

「オカルトっぽいの、科学者とか研究者の人はあんまり信じないのかなって」

「そんなことないよー、科学者にも熱心な宗教家とか、もっとおかしなものに傾倒してる人はいっぱいいるし」

「へえ、そうなんだ」

「あと、説明のつかない現象ってのは、科学の使徒なら、単にまだ解明されてないだけって見るものだよ。実際に起きてることを理屈がわからないからって『そんなはずはない』なんて言い張るのは、それこそ非科学的だね」

「そっか、たしかにそうだね」

「そういうものを科学的に研究してるところもあるから、その手の人がほたるちゃんのこと知ったら大喜びであれこれ実験するだろうね。解剖しちゃうかも」

 そう言って、志希さんが私に目を向ける。私は思わず何歩かあとずさった。

「ああ、あたしはケミカルが専門だから、そーゆーのは研究対象外なのでだいじょうぶ」

「は、はい……」

 背中を一滴、冷や汗が伝い落ちる。
 だいじょうぶの理由が「研究対象外だから」というのは、もしも対象の内だったら解剖するのにもためらいはないと言っているように思えてしまうのは、考えすぎだろうか?。

「そーゆー夕美ちゃんは、信じてないのかにゃ?」

「うーん、私にはわからないかな。ほたるちゃんがそう言ってるんならそうなんじゃないかな」

 夕美さんがあっけらかんと答える。

「でも、どっちにしても、ほたるちゃんのせいじゃないよね。体質なら」


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