41: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/10(木) 17:41:11.49 ID:xTncLF7m0
志希さんはものすごく頭がよく、アイドルになる前は海外に渡って飛び級で大学に通っていたらしい。ちょっと私には想像もつかない世界だ。
大学を辞めて日本に戻っていたところで、屋外でテレビ番組の撮影を見守っていた346プロのプロデューサーに自分から声をかけ、紆余曲折の末にアイドルになったそうだ。
「志希さん……すごいらしいですね」
彼女はアイドルとしても天才的で、デビューしてからあっという間に人気アイドルになった。
周子さんも本物の天才とたたえる、その目からはいったい、どんな景色が見えてるんだろう?
「うらやましいと思ったことはないけどね」
ぽつりと、周子さんが言った。
「……どうしてです?」
「あたし、けっこう志希ちゃんとのお仕事になること多いんだ」
私はうなずいた。
346プロは所属アイドルでユニットを組ませて売り出す商法をとることが多く、いちど限りのものから長期的に活動するものまで、覚えきれないほど多くのユニットがある。
たしか周子さんと志希さんは複数のユニットにいっしょに編成されている。共演することも多いだろう。
「だからあたしにはわかる。あれはたぶんね、しんどいよ」
私は首をひねった。しんどい?
どういう意味かと詳しく聞きたかったけど、周子さんは優しげなような悲しげなような、不思議な微笑を浮かべていて、なんだか声をかけてしまうのがためらわれた。
「それよりほたるちゃん、自主練しにきたんでしょ。せっかくだからちょっと見せてもらおっかな」
「しゅ、周子さんの前でですか? その……恥ずかしいです」
「見られるのも練習のうちだよ。どんなお仕事だって人に見られながらだからねー」
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