白菊ほたる『災いの子』
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28: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/07(月) 19:56:55.85 ID:eRaIODkj0
「なかなか面白いヤツじゃないか」

 トレーナーさんが笑って、プロデューサーさんの背中をばしんと叩く。

「水分だけはしっかりとるように」

 そう言って、トレーナーさんが部屋を出て行った。 

「うーん、復習か……」

 叩かれた背中をさすりながら、プロデューサーさんがつぶやく。

「はい、プロデューサーさんも、見ていて気になったことがありましたら、なんでも言ってください」

「気になるところ、じゃあひとついいかな」

「なんでしょう」

「笑ってみて」

「え?」

「笑う、笑顔、スマイリング」

「あ、はい。えっと…………こう、ですか?」

 私は当惑しつつ、笑みを作ってプロデューサーさんに向けてみた。

「いや?」

「えっ……」

「まあ、これから練習していけばいいさ」

 苦笑しながらプロデューサーさんが部屋を出て行き、私はひとりぽつんと残された。



 ……笑顔、そんなに、変だったのかな?



 鏡の前に行き、そこに映った自分に向けて笑いかけてみる。
 ぴしりと音がして、鏡に大きなヒビが入った。ひどい。


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