188: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/07/16(月) 00:06:34.92 ID:we/MuDDP0
運命、なんて言ったらロマンチックに過ぎるだろうか。
私がアイドルを目指すきっかけとなったアイドル。その人を担当していたプロデューサーが、今私の目の前にいるなんて。
「この人とは、仲よかったんですか?」
「いや、最後のほうはかなり険悪だったよ。それで引退したようなもんだし」
「……そうなんですか?」
「今でも少し、後悔してるかな。あのときに担当替えでもして俺と離れていたら、まだアイドルを続けていたんじゃないか、今頃はトップアイドルにでもなれてたんじゃないかって」
プロデューサーさんが少し寂しそうな顔をする。
「だけど、元気でやってるみたいだから、少し安心した」
プロデューサーさんが手紙をたたんで封筒に戻し、机の引き出しにしまう。大切なものを扱うように、優しい手つきで。
「トップアイドルには、私がなってあげますよ」
私は言った。
ちょっと顔が熱くなる。また大きいことを言ってしまっている。
「えっと……だから、私は担当の変更なんて望みません。私を見つけてくれたのは、プロデューサーさんなんですから」
少し間を取って、プロデューサーさんを見つめる。
「責任、取ってくださいね」
「白菊、それは男が女から言われたくないセリフ上位に入るから、覚えとくといい」
なんですか、それ。
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