189: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/07/16(月) 00:07:30.36 ID:we/MuDDP0
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『突然のお手紙、失礼いたします。
ふだんは手書きの手紙なんて書くことはないので、形式とか作法とかは全然わからないけど、そこはあなたと私の仲ということで許してください。なんて、なれなれしすぎるでしょうか?
この前、テレビのニュース番組で桜舞姫のライブが取り上げられているのを見ました。
夕美ちゃん、志希ちゃん、周子ちゃん。私はあまり彼女たちと関わることはありませんでしたが、かつての同僚というものはやはり気になるものです。
ニュースになるくらい活躍してるんだ、みんな元気にしてるかな、なんて思いながらそれを見ていたら、白菊ほたるという、私の知らない子が出ていました。
メンバーが増えたのかな、と気になって調べてみて、ライブのスタッフの中にあなたの名前を見つけました。
ということは、あなたがこのほたるちゃんの担当プロデューサーをやっているということでしょうか?(違っていたらごめんなさい)
そのようなわけで、あなたのことを思い出し、こうして筆をとった次第です。
ところで、
もしかしたら、あなたは私が引退したことを自分のせいだと思っているのではないでしょうか。
だとしたら、それは間違いです。誰のせいでもありません。私が弱かったから、ただそれだけのことです。
思えば私は、自分がアイドルになれるなんて思っていませんでした。年齢的にもデビューするには遅すぎたし、歌やダンスも、あまり得意ではありませんでしたから。
だから346プロに採用されて、人気も出るようになって、まるでキツネかタヌキにでも化かされたような気分でした。346プロ的に言うなら、「魔法をかけられた」ですかね。
そのせいでしょうか、私はアイドルになれて、そこそこの成功をして、そこで満足してしまったのです。
私は、人間の強さとは、夢を見る力だと思います。
私にはきっと、それが足りなかったのです。
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