18: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/05(土) 11:15:12.92 ID:sqRoe9hI0
「……不幸が」
「はい」
「うつりますから」
「はい」
これは、どう反応したらいいものだろう。ジョークにしては真剣な表情をしているし、笑うところではなさそうだけど。
「プロデューサーさんも、私をスカウトしたせいで……交通事故に」
「交通事故?」
「はい、車に……昨日のことですが」
なるほど、それで傷だらけだったのか……なんて簡単に納得するはずもない。
ちら、とほたるちゃんのどんぶりに目を向ける。麺は見えない、おつゆはまだ残ってるけど、かなり片寄った割れ方をした割りばしはきちんとそろえて置かれているから、もうごちそうさまということだろう。どうやら毒も入っていなかったようだ。
「なかなか面白そうな話だから、もう少し詳しく聞かせてもらいたいかな。ちょっとあたしの部屋こない?」
「いけません! そんな、なにが起こるか……!」
ほたるちゃんがあわてて首を横に振る。
大真面目で言ってるんだよね、これ。
「じゃあ、ほたるちゃんの部屋だったら?」
そう問いかけると、ほたるちゃんはそわそわと視線をさまよわせた。迷っているらしい。
「はい決定、行ってみよー」
これは強引に行けば押し切れると判断し、あたしはそう言って勝手に616号室、ほたるちゃんの部屋に向けて歩き出した。
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