178: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/07/15(日) 23:55:26.37 ID:1DFdeF0E0
私が、人を助けてる?
「そんなわけ……」
「ほたるちゃんのプロデューサーが言ってたじゃない、ほたるちゃんには出来事が自分の影響かそうでないか区別がつかないってさ。スタッフに聞いたんだけど、さっきのステージ、大変だったみたいだね。その起きたトラブルが、ほたるちゃんはまったく関係がないとしたら? 明かりがぜんぶ落ちた真っ暗闇で、音楽が止まって、マイクも壊れて、その中で最後まで歌い続けるなんて、あたしにも、夕美ちゃんにだってできやしない。ほたるちゃんじゃなきゃダメだったんだ。じゃあ、そのときステージに立っていたのがほたるちゃんなのは、ラッキーだったとも言えるよね。もちろん本当のところは、どこまで行っても『わからない』だよ。時間をさかのぼって、もういちどやりなおしてみない限りはね。でもそれはつまり、ほたるちゃんが不幸な出来事だと思ってることでも、ほたるちゃんがいなかったらもっと悪い結果になってたって可能性は常にあるってこと。それだけ覚えておいてほしいかにゃ」
「えっと……その……」
言葉が見つからない。
志希さんの声には、感情がこもっていなかった。夜の次は朝が来るみたいに、淡々と当たり前の事実を述べているようだった。
ズキンと頭が痛む。
悪夢がフラッシュバックする。
みんなが私を指差して、「おまえのせいだ」と責めたてる。私が不幸にした人たちが。
そんな都合のいい答えに飛びつくなんて許さないと言っているようだった。
だって、たくさん迷惑をかけた。嫌な思いをさせた。夕美さんにだって。
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