167: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/07/15(日) 23:39:36.58 ID:1DFdeF0E0
「それを決めたのは、あたしのプロデューサーかにゃ?」
「うん」
捜索は打ち切るにしても、そのまま行方不明になられると困る。それよりは、ここで夕美ちゃんと合流してくれたほうが後が楽、ということだろう。
あたしとしては、これ以上逃げ続ける理由はない。
「あたしに伝言とかあった?」
「アンコール分は休憩なしで続けてやるから、乱入するようなら好きなタイミングで、だって」
「ふーん……」
『乱入』、なんとなくあたし好みっぽい言葉。誘っているのだろう、けど――
「どうするの?」
「やめとく。今日のステージはもう、ほたるちゃんのものだよ」
「そう」
ぷらぷらと揺れる脚に目を向ける。
「足首は、どんな感じ?」
「んー、やっぱり動かすと痛いね」
「ちょっと触るね」
「うん」
ベッドの前にしゃがみ込む。
大きく腫れた足。反応をうかがいながら、骨折が起こりやすいとされている部分を数ヶ所、順番に押していく。強い痛みを感じている様子はない。
テーピングは、ガチガチに固めているように見えて、ほんの少しだけ可動域を残している。応急処置としては完全固定がセオリーのはず、治療に当たった人が重度ではないと判断したのか。
「問題なさそうだね」
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