153: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/28(木) 01:02:43.29 ID:sg2qAd8w0
テレビ局に入ると、ちょうどスタジオから白菊ほたるが出てきたところだった。撮影は中止になったらしい。
少し離れて後を追う。建物の外に出て少し歩いたところで、白菊ほたるが思い出したように携帯電話を取り出し、どこかにかけ始めた。
話しながら、今にも卒倒してしまいそうに顔色を失う。やりとりを聞かなくても、良い内容ではないというのは十分にわかった。
通話を終えた白菊ほたるが夢遊病者のような足取りで公園に入る。公園には彼女の他には誰もいなかった。
声をかけるなら今か、とその後を追う。一歩近づくにつれて空が暗くなり、空気が冷たさを増していくように感じた。風がその少女を中心に渦を巻いているようだった。
「どうしたの?」
と、自販機に頭突きをくれている彼女に声をかける。
やはり先ほどの電話で解雇を通告されたらしい。それは予定通りだったが、スカウトはうまくはいかなかった。
白菊ほたるが拒絶の言葉を残し、公園を出て行く。そのあとを追いかけ、行く手を塞ぐように立ちはだかる。
そこに、けたたましいクラクションとブレーキの音が耳に届いた。
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