白菊ほたる『災いの子』
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12: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/04(金) 23:23:44.97 ID:GasL4mJG0
 ――あなたさえいなければ。



 伸ばしかけた腕がこわばる。
 もしも私がこの手を取ってしまったら、この人も、いつかはそう思うのだろうか。

「……ダメです。スカウトなら……他を当たってください」

 そう言い残して、私はほとんど走るように足早に公園を出た。

 私はきっと、後悔するのだと思う。
 せっかくの誘いをなぜ受けなかったのか、なぜ諦めてしまったのかって。この先、ずっとずっと。

 だけどもう、これ以上、私の夢のせいで傷つく人を見るのが怖かった。
 最初は優しかった人が、私の不幸を知って、忌まわしいものを見る目を向けてくる瞬間が怖かった。



 それから、追いかけてきた男の人が、私の行く手をさえぎるように前に出て、

 私の目の前で、車にはねられた。


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