白菊ほたる『災いの子』
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11: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/04(金) 23:22:42.83 ID:GasL4mJG0
「今回のプロダクションでは、お仕事をもらえて……。売れっ子さんのバーターでの出演でしたけど、それでもいけるかなって思ってたんですけど……やっぱりダメで」

「今日の、現場に来なかったって子かな」

 こくりとうなずきを返す。

「その人は、私なんかと組みたくなかったらしくて……。プロダクションの人からは、大きな仕事がなくなったのは私のせいだって言われて……。いつもそうなんです、事故とかアクシデントが私のせいでたくさん起きて……。私なんかがアイドル目指したら、ダメだったんですね」

「ダメじゃない」

 私は首を横に振った。

「私は、人を不幸にしちゃうんです。呪われてるんです。そんな人は、アイドルにはなれないんです。きっと」

 たぶんこの人は信じていないんだろう。すべてはただの偶然で、被害妄想にでも陥ってるとでも思ってるんだろう。

「アイドルになりたくない?」

 男の人が、握手でも求めるみたいに、手を差し出してきた。
 スカウトをされているのだと気付き、どくんと心臓が跳ねる。
 心が揺れ動く。期待をしてしまう自分が嫌になる。また同じことを繰り返すだけだって、わかってるのに。


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