102: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/02(土) 10:44:10.81 ID:Y+SAhLWq0
それから、私たちはバスに乗って植物園に向かった。
私はこういうところに来るのは初めてだったけど、夕美さんはオフの日にたびたび訪れているらしい。入園料は400円、意外と安い。人はあまり多くなくて、落ち着いた雰囲気だった。
広い園内をふたりでゆっくりと、色んなお花を眺めて歩く。
右を見ても左を見てもお花でいっぱいで、夕美さんは、はしゃいでいるといってもいいくらいに喜んでいた。お花ももちろんきれいだったけど、その嬉しそうな顔を見るだけでも来てよかったと思った。
ときどき夕美さんはお花に聴かせるように歌を歌った。きっと夕美さんにとって歌うというのは特別な行為ではなく、嬉しいとき、楽しいときに自然とそうしてしまうものなのだろう。
気のせいか、辺りに咲くお花が夕美さんの歌声を聴いて、少し元気になったように花びらを広げたように見えた。
私がいっしょにその歌を口ずさむと、夕美さんはにっこりと笑って、きれいな声だとほめてくれた。
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