橘ありす「インタスグラム、ですか?」
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7: ◆E055cIpaPs
2018/04/21(土) 23:14:20.88 ID:0nbIURfu0
「ほら、ゲームばっかりやってないで、ありすもインタスグラムを始めるんだ!」

「嫌です、それと橘です。 なんで私がそんなことをしないといけないんですか!」

 そもそも私とのお話はどうなったんですか、あと、あんなのはSNSとして邪道です、などどとありすに勢いが付き始めた一方で、みくのテンションが目の前でどんどん下がって行っているのを感じた。

 とても目がじっとりとしている。

 なんだろう、塀の上で寝ころんでる猫があんな目をよくしている気がする。

「もうちょっと静かにやってほしいにゃ……」

「ああ、ごめんごめん。 珈琲も注文するから……」

「口の中が甘くなってきたから、ブラックね……」

「ちょっと、私の話を聞いてください!」

「まあまあ」と宥めてはいたものの、ありすの興奮は当然のように収まることが無く、みくと話をしている間も僕の顔を下からきっと睨みつけて「なんでインタスグラムをはじめなくちゃいけないんですか!?」の答えを待っている。

 みくにちらりと目をやると、彼女は彼女で「ほら、さっさと説得するにゃ」とでも言わんばかりの視線を僕になげかけている。

 ああ、本当にどう説明すればいいのだろう。

 きっと彼女には感性で戦うインタスグラムよりも余程ツイッターのような頭で勝負するSNSの方が向いているのだろう。

 もっと言うと、彼女が傷つく可能性があるSNSにはもう触れて欲しくないという気持ちだってある。

 もう一度炎上してしまうリスクだって少なくは無いうえ、今回は目的を達せずにただただ徒労に終わってしまう可能性だってあるのだ。

 可能であるならば、彼女が悲しむことになるような道を、僕は歩かせたくはないのだ。

 それでも彼女が文香の助けになるためには何らかのインターネット上での実績が必要で。

 ならば、その道を開けるのはインタスグラムなのだろうとも思う。

 そう、必要なことなのだ。

 だから僕は、自分の不安が伝わらないように、迷いを悟られないように、あくまでも日常の延長戦であるかのようにして口を開いた。

 「ありすには今すぐインタスグラムを始めなければならない十の理由があってだな―――


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