9: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:18:21.72 ID:Q3vY7Opm0
「美穂ちゃんは恥ずかしがり屋さんやねぇ」
腰にしがみつく娘を撫でて、お母さんはそう言ったものです。
10: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:19:08.06 ID:Q3vY7Opm0
とにかくそういう風にマイペースに生きてた私ですが、6歳の頃にちょっとした転機がありました。
幼稚園のお遊戯会で、劇をすることになったのです。
11: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:20:38.79 ID:Q3vY7Opm0
私の数少ないお友達も、まだあんまりお互い知らない子もみんなぽかんとしていました。
当然です。ついさっきまで私は隅っこでもごもごやってるアホ毛のいきものだったんだから。
もちろん主役に名乗りを上げることは何も悪くないのですが……。
12: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:21:07.69 ID:Q3vY7Opm0
「できるもん!」
13: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:22:13.70 ID:Q3vY7Opm0
〇
あなぐま小日向は、たまに穴から出てくるっぽい。
14: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:23:21.39 ID:Q3vY7Opm0
「おかあさん」
「なん、美穂ちゃん?」
「みほね、はずかしか」
「なんが?」
15: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:23:52.46 ID:Q3vY7Opm0
お母さんはラジオを点けました。
ちょうど芸人さんのトーク番組があって、軽快な喋りに思わずくすっと笑ってしまいます。
「ラジオば聞いて、おうちで練習せんね。お母さんも熊さんもお手伝いするけん」
16: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:25:58.29 ID:Q3vY7Opm0
〇
できるもんと言いながら、あなぐまは色んなことに首を突っ込みます。
17: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:27:30.76 ID:Q3vY7Opm0
それは小学校の卒業式。使い古したランドセルを、もう大きくは感じませんでした。
五分咲きの桜が彩る通学路、待ち合わせ場所にはちーちゃんやのんちゃんやみんながもう着いていました。
式の後のこととかを話しているのでしょう。
18: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:28:27.43 ID:Q3vY7Opm0
〇
中学に上がった時、あなぐまは公然と使われる普通のあだ名になっていました。
19: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:29:31.66 ID:Q3vY7Opm0
〇
熊本の街は、私達の成長に合わせて少しずつ変わっていきます。
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