14: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:23:21.39 ID:Q3vY7Opm0
「おかあさん」
「なん、美穂ちゃん?」
「みほね、はずかしか」
「なんが?」
「ちーちゃんいっぱいしゃべっとる。のんちゃんも。みほ、できんと」
「んー……美穂ちゃんは、お友達とたくさんお喋りがしたかとかな?」
「……ぅん」
お母さんはいつも言葉少ない私の真意をうまく汲み取ってくれるのです。
多分お父さんで慣れてたんだと思います。
お母さんは洗い物を中断し、エプロンで拭いた手を頭に乗せてくれるのでした。
「よかよ。上手にお喋りできんでも」
「んーんー」
首を横に振る私。そんなこと言ったってちゃんとお喋りしたいんだもん。
「素直で優しくて、ほんのちょっと明るかれば、みんな美穂ちゃんのことばわかってくれるけん」
「んー」
「桃太郎はかっこよかったがね。お友達は知っとるよ」
理想を言えば、いつもあんな感じになりたかった。
台詞を覚えて演じて、物語の主人公になっている間は世界が違った。
でもだからこそ、役が抜けた後の「私」のちっぽけさが身に染みたんだと思います。
「それやったらねぇ、こうしようか」
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