40: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:46:19.87 ID:Q3vY7Opm0
〇
出発は春の朝。始発の新幹線で私は東京に向かいます。
41: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:47:16.93 ID:Q3vY7Opm0
〇
お見送りは少数でした。
42: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:48:21.26 ID:Q3vY7Opm0
「美穂ーーーっ! がまだせ(頑張れ)ーーーーーーっ!!」
43: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:49:18.27 ID:Q3vY7Opm0
電車が加速します。
みんな、いっぱいの笑顔で手を振ってくれていました。
44: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:52:09.66 ID:Q3vY7Opm0
〇
短くはない話を、色紙を撫でながら語りきります。
45: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:53:51.23 ID:Q3vY7Opm0
〇
「わぁ、ほんとに高いっ!」
46: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:54:28.21 ID:Q3vY7Opm0
私はここにいるんだ、って。
目に見ることができないなら、伝える手段は一つ。
この街で頑張って、アイドルとして輝いて、どこにいたって小日向美穂の名前が届くようにならないと。
47: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:55:06.27 ID:Q3vY7Opm0
「今でもたまに思うんです。できるのかなぁって」
「……」
「だって、周りのみんなは凄い子達だから。可愛かったり、かっこよかったり、情熱があったり……。
私に無いものを持った子はたくさんいて……みんな大好きで、心から尊敬してるんです」
48: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:56:19.75 ID:Q3vY7Opm0
「最初から成功するなんて夢物語だ。いつどこで誰が報われるかなんて誰にもわからない。だけどここまで来たじゃないか」
「あ……」
「話を聞いてわかったよ。美穂のいいところは昔から何も変わってないな」
49: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:57:31.03 ID:Q3vY7Opm0
高く遠い景色。吹き抜ける大きな風。どこか懐かしい匂い。
ふっと記憶が蘇って、私は思わず涙ぐんでしまいました。
50: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/20(金) 00:58:17.45 ID:Q3vY7Opm0
その後しばらくわちゃわちゃしていて、誤解を解く頃には空は暗くなっていました。
「……てことで、そろそろ帰ろうか」
「うぅ、は、はい……」
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