荒木比奈「ジャスト・リブ・モア」
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17: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:11:24.59 ID:BEFLqt5g0

◆◇◆

「と、まあ、こんなところっスね」

一年後の4月9日。私は21歳になっていた。今日は、家に奈緒ちゃんと菜々ちゃんをお家に招いて、鍋を囲んでの小さなパーティ。去年の彼女は、今年は彼氏の家にお泊まりらしい。リア充め。

今から364日前の出会いを、リクエストの元、奈緒ちゃんと菜々ちゃんに話す。私が将来に対して悩みを抱えていたとか、メンタルが弱っていたとかそういうのは抜きに、「こういう言葉をかけられたよ」「こういう感じで誘われたよ」って所だけを抽出してお話した。

「じょ、情熱的だったんだな…」

「ナナはなんて言うか、話を聞く限りですけど、普段のあの人からは全く想像出来ないですねぇ」

「ああ、本人も言ってたっス。『あのときはどうかしてた』って、照れながら」

「どうかしてたって」

小鉢によそっておいた白菜を頬張る。出汁がきいていてとても美味しい。ちゃんと噛んで、飲み込んでから、二人に言葉をかけた。

「…で、アタシ的にはお二人のスカウトとか、きっかけのお話も聞きたいんスけど」

「え?」

「はい?」

二人が箸を止める。私はそのすきに鍋から鶏肉を取る。良い感じに煮えてて美味しそうだ。

私達は三人とも担当のプロデューサーさんが違う。それ相応、三者三様の出会いをしたはずだ。普段聞けないようなことだし、この機会に聞いてみたい。

「ささ、お二人も」

「…いや〜、アタシはそんな…」

「な、ナナもちょっといいかなぁ〜って…」

「な、なんでっスか!アタシだけだと恥ずかしいじゃないっスか!」

無理強いは良くないけれど、なんかこれは、ちょっと腑に落ちない。私はしぶしぶ納得しながら、鶏肉を口に運ぶ。美味しさで何かどうでも良くなった。



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