荒木比奈「ジャスト・リブ・モア」
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16: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:10:50.39 ID:BEFLqt5g0

彼…プロデューサーさんと別れる前に、アタシは一つ条件を出した。それは、「アイドルするのは、今描いてる32ページを終わらせてから」というもの。プロデューサーさんは「終わったら連絡して欲しい」とだけ言って、もう一枚名刺を渡してきた。もうもらいましたよと指摘すると、恥ずかしそうに懐にしまった。

そして今は、ペン入れの真っ最中。驚くほどに筆は乗り、過去でも一、二を争うほど作業スピードがいい。

今日のことは、自分にとって革命だった。今まで決意というものをしてこなかった私が、他人がきっかけではあるけれども、初めて、道を選べたような気がしたから。嬉しかった。変われたような気がした。もちろん、まだ弱い部分は多いけれど。

ご飯はコンビニ弁当にした。もう、それで十分だった。あ、でもアイドルをするのなら、これから食生活とかには気をつけないと行けないのかな?

だってアイドルって、スタイルがいい人が多いし。これまでみたいに好き勝手に食べるのは控えた方が良いのだろう。だって、アイドルになるんだし。

アイドルに…アイドル…。

「……そうかぁ……アタシがアイドルかぁ…まいったなぁー……なんかワクワクしちゃうなぁ…ウフ…ウフフ…」

ニヤニヤと、気持ちの悪い独り言を呟き妄想しながら、筆を走らせていく。

脱稿まで、あとちょっとだ。




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