18: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:12:09.29 ID:BEFLqt5g0
午後11時30分。鍋もケーキも食べ終わって、後片付けも(「主役は座ってて」と主に二人が)した。二人はもう寝ている。明日がオフの私と違って、二人には仕事があるし、このままぐっすりとしてもらおう。本当はまだまだおしゃべりがしたかったけど、しょうがないよね。
私は一人起きて、スマホの画面を眺めていた。
今朝、件の彼から届いた、私の誕生日を祝うメッセージ。
年度初めとか、新人の教育とか諸々が重なって忙しかったらしく、私は今日プロデューサーに出会えなかった。…今日どころか、ここ最近、普通に一緒の時間が減ってしまっている。忙しいものはしょうがないと思ってはいるけれど、やっぱり直接会いたくなってくるわけで。彼に出会えたことで、私と、私の人生が大きく変わったことに対する、一年分の感謝を、一年経った今日、直接伝えたい。でも、それはもう叶わないことだ。
…いや、急にそういうの言っても、重くて引かれるんじゃない?そう考えると、直接会えなくて良かったような。
スマホをコタツの上に置き、腕を広げて体を伸ばす。背中を大きく反らしたらパキッと音が鳴った。
気持ちを切り替えるように大きく息を吸い込んで、吐き出そうとする。
そんなときだった。
コタツの上のスマホが震える。反らした分の反動をつけて、元の姿勢に戻り、画面を見る。と、同時に吐き出せなかった息を、一気に吐き出してしまった。
画面には、今日会えなかったその人の名前が光っていて。
スマホを手に取る。でも、すぐには電話に出られなかった。二人は寝ているよね?でも話し声で起きたりとか、その流れで話を聞かれたりとかされたくないし。
悩んでいる間にもコール数は増えていく。まずい、このままだと寝ているって思われて切れちゃうかも。ドアの近くは二人が寝ていて防がれている。一番近くで一人きりになれる場所、どこかどこかと探して、私はベランダに飛び出した。
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