51: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 12:18:22.60 ID:X17K8DuQ0
「あのあとね、お母さんやお父さんにも大反対されちゃって、ケンカしちゃって」
「やっぱりアタシの夢は誰にも応援してもらえなかった」
決意に満ちていたはずの忍の瞳に諦めの影が映る。
「やっぱり」のフレーズに、忍がどれくらい憧れて、悩んでいたのかが詰まっていた。
「でも、アタシね、ぜーったいアイドルになりたいんだ」
「だから、ほとんど家出同然で飛び出してきちゃった」
「……東京に行こうと思うの」
姿を見た時から気付いていた。でも、その言葉は僕が一番聞きたくなかったセリフだった。
結局僕はどうすることもできないまま、いなくなってほしくない人を見送るだけなのだろうか。
そんな悔しさと苛立ちがささくれだって僕の心を荒らす。
「忍……自分が何やってるのか分かってるのか?」
「っ……そうやっていつも勢いだけで突っ走って」
全員の反対を振り切って、家出してまで、東京でアイドルを目指すだって?
そんなことする高校生がこの世のどこにいるっていうんだ。
ふざけんな。現実はそんなに甘くない。
傷ついて逃げ帰って夢を見られなくなるくらいなら、淡い期待なんかしない方がいい。
「女子寮があるようなとこだったら良いけど、贅沢は言わない」
「オーディションにさえ受かれば、反対してるかなんて関係ない。転校も一人暮らしも認めさせる」
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