工藤忍「おかしなうさぎは夢見て跳ねる」
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27: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 11:53:32.62 ID:X17K8DuQ0


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 コンビニまでの長々とした道を、踏みしめるように歩いて帰る。
 オレンジは、ホワイトとブルーに混ざって、群青の暗い影を作る。
 ふたりの呼吸は白く長く立ち上って、夕焼けに染められていた。

 みんな、そろそろ帰る時間なんだろう。
 はしゃいで雪玉を投げ合う子ども。買い物帰りに手をつなぐ家族。
 もこもこになるまで着込んで朗らかに笑い合う高校生。

 そんないつも通りの冬の光景が、僕らのお喋りのきっかけだ。
 楽しそうに、不思議そうに、考え込むように、思い出すように。
 僕らは、音楽室だけでは分からないことをひとつ、ひとつ確かめていく。

 お茶でもした帰りなのか、大声で話して騒ぐおばちゃん達とすれ違った時。
 僕は気になっていたことを思い出した。

「忍は……」

「ん? どうしたの?」

「津軽弁が出ないね」

 高校にもなると地域の混ざりが激しいから、人それぞれだけども。
 誰だって、大なり、小なり、津軽弁の訛りがどこかに隠れているものだ。
 でも、忍はテレビで聞くような珍しいトーンでずっと僕と会話をしていた。

「お互い様じゃない?」

「忍は地元民だろ?」

 僕は、親が転勤族だから、家族と話す時に標準語になっている影響が強いんだと思う。
 それでも、高校の友達なんかと話す時は、どうしてもあの訛りについ引っ張られる。


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