28: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 11:54:04.44 ID:X17K8DuQ0
「んーとね、特訓の成果かな!」
「なんの?」
「アタシ、毎日欠かさずラジオを聞いて、標準語の練習をしてるの!」
へへーん、なかなかでしょ?と得意げな顔をする忍は、褒めてもらった子どもみたいだ。
こいつの努力の方向性がいまいち良く分からない。
傾けている情熱がホンモノなんだってことはイヤでも伝わってくるけれど。
「そう……っすか。なんでまた?」
青森にいる以上、標準語だろうと方言だろうとどっちでもいいだろうに。
むしろ周りに釣られないように意識する方が面倒臭い気がする。
「え、えっと、うん。ほ、ほら、東京とか遊びに行った時に笑われちゃうじゃない?」
またこの顔だ。慌てて何かを隠すように、振り絞るような声で。
こいつはウソが本当に下手くそなんだろう。なぜか頑張る理由を隠したがる。
何度も繰り返されたやり取りに、分かっていてもあまり踏み込まないようになった。
「ん。まぁ、確かに」
「で、でしょ! それに、ほらっ」
踏み固められた雪の上でキレイに忍がターンする。
チェックのスカートがふわりと浮かんで、僕の目線が上から下まで忍を捉える。
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