484:名無しNIPPER[saga]
2018/06/07(木) 03:02:34.30 ID:2wO2LAJL0
しかしライブ本番が近づいてくると、世間も再び、俄かに色めき立ってきた。
増える話題は勿論、いいものばかりではない。
「でも、思った以上に落ち着いているものね」
事務所でカレンダーをなぞりながら、一人ごちる。
自分でも意外なほど。
かつて他人の一言一行で取り乱していたのが嘘のよう。
自分の中に柱となる信念があるだけで、こうも変わるものだったか。
過去の自分はそれほどまでに、足場もおぼつかない不安定の中だったか。
そう思っていた時、事務所のドアが開く。
「ごめんね千早ちゃん、待たせちゃったかしら」
「いえ、お忙しいところすみません、音無さん」
そう言って音無さんの手にある、イラスト入りのビニール袋に目をやる。
照れ笑いを浮かべながら、音無さんは袋を慌てて背中に隠した。
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