478:名無しNIPPER[saga]
2018/06/07(木) 00:28:46.25 ID:2wO2LAJL0
距離にして十数年。
時間にすればあっという間の数分。
小さな旅を終え、目を瞑って息をつく。
「プロデューサー、いかがでしたか」
返事はない。
薄らと目を開けると。
柔らかく微笑みながら、一筋の涙を流すプロデューサーがいた。
余韻を噛み締めるように間を置いてから。
「何だか、懐かしいな」
隠そうともせず、目元をハンカチで拭う。
「聴きながらね、いつかの合唱コンクールを思い出したよ」
「懐かしいお話ですね」
「ああ、あの時もこんな風に泣いてしまったんだった」
「それは初めて聞きました、そうだったんですか?」
「男の口からは、あんまり泣いた話はできないもんだよ」
そう言って笑ってから。
「でも、あの時よりずっとずっと、優しい歌だった」
私の頭をくしゃくしゃと撫でた。
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