469:名無しNIPPER[saga]
2018/05/31(木) 01:18:12.45 ID:D6l+5lRj0
筆を走らせる手から、徐々に迷いがなくなっていく。
積み重ねてきた時間が、形のない想いに追いついていく。
「結局、最初から私にはこれだけだったのかもしれないわね」
そして私は、筆を置いて。
想いを書き終えた紙を片手に、私は扉の前に立つ。
扉に画びょうで貼り付けられた、すごろくの紙。
「もう少し、もう少しだけ待っていてね」
紙を右手で撫でながら。
その奥の扉の、更に奥に手を伸ばしながら。
「今、届けに行くから」
右の拳を握り締める。
中に、硬く四角い感触。
その拳の中には、ひとつのさいころが握られていた。
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