447:名無しNIPPER[saga]
2018/04/17(火) 20:00:24.50 ID:90dRlIqZ0
あの日、天海春香と言う名前を知って。
私は、その名前に囚われてしまっていたのかもしれない。
天海春香に、伝えなきゃ。
そう思いながら私は、病室で眠るこの子としか向き合っていなかった。
けれど、私の想いの奔流が向かう先は、今ここにはいない、あの子で。
私が、何よりも伝えたかった想いは。
あの日の指切りの先で。
あの日の涙を拭ってあげることで。
「そうだった、こんなに簡単なことだったのね」
「……大間抜けで、ごめんなさい」
「もう少し、待っててね」
私は椅子から立ち上がり、窓の外に目をやった。
夕日が、いつにもなく眩しく見えた。
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