千早「賽は、投げられた」
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35:名無しNIPPER[saga]
2018/03/28(水) 17:03:48.61 ID:+0zrf0Mn0


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ふらつく足取りで訪れた場所。

私の前にあるのは、古びた小さな雑居ビル。

築何年くらいになるのか、多分私よりも年上だろう。


街中で小さな、素朴な広告を見て。

一度見ただけなのに、何故か頭から離れなくて。

それでも躊躇する手を引かれて訪れたのは、これまた小さなアイドル事務所。

私は社長を名乗る人に、一言だけ質問をされた。


「君は、好きなことはあるかね?」


私は、偽りなく答えた。


「以前は、歌が何よりも好きでした」

「……いいえ、歌が私に届けてくれる幸せが、好きでした」

「それをまた手にしたいと、もがいています」


その言葉を聞いた社長は、何も言わずに頷いてくれた。

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