171:名無しNIPPER[saga]
2018/04/01(日) 15:53:48.06 ID:8fWIK/550
「だからね、千早ちゃん。もう一回、私からのお願い」
「前に進むことを、やめないで」
ドアの向こうから届いた願いは、先ほどよりも深く、私の心に刺さった。
「私ね、千早ちゃんのお陰で生まれ変われたんだよ」
「自分自身の意味を、心からの願いを、やっと見つけられたんだよ」
「千早ちゃんが諦めちゃったら……自分の力を信じられなくなっちゃったら……」
「私の夢も、あの時の感動も、希望も……全部、否定されちゃう」
「私が考えてきたことが、やってきたことが、無駄になっちゃう」
「私には、何も残らなくなっちゃう」
「私が、生きた証も……なくなっちゃう……」
きっと、必死に堪えていた涙がまた溢れてきたのだろう。
「わた、しの、おもい……ぜんぶぜんぶ、うそになっちゃう……!」
その後にも何か言おうとしていたけれど、言葉になっていなかった。
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