伊織「『百年たってもやよいおり』? ……何よこれ」
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28:名無しNIPPER[saga]
2018/03/25(日) 23:10:49.00 ID:JKum/CnfO

ふと我にかえると、箸を持ちながら泣いていた。

……箸?


「おおおお客様、大丈夫ですか!? 当店のメニューがお口に合わなかったのでしょうかっ!?」


ぼやけた視界には泣きそうな男性の顔がある。

そうだった、そういえば私、空港のレストラン街でご飯食べてるところでーー。

店員だけではなく、もれなく店中の視線は再び自分に集まっていた。

それはそうだろう。

いい年齢の女性が一人でもやし炒め定食を食べながらぼろぼろ涙を流しているのだ。

そんな光景滅多に見られない。

「だっ、大丈夫よ、ちょっと目に汗が入っただけだから! 別に料理に問題とかあったわけじゃないから! ……ああもう、救急車を呼ぼうとするな!」

正直、今まで生きてきて一番恥ずかしかった。

いくら自分が注目を浴びるのに慣れているからといっても、状況が間抜けすぎた。

今すぐにでも店を出て逃げ出したい気分だったが、料理を残すのはきっとあの子が悲しむだろう。

そう思ったから、羞恥心に耐えながらも伊織は定食をきれいに完食しきってから店を後にした。




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