67: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/29(木) 00:31:15.38 ID:UdBPP3xP0
――あれ? と、ある時ふと思う。
あたし今、どこにいるんだっけ。
68: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/29(木) 00:31:53.80 ID:UdBPP3xP0
生まれ持つモノを生まれる者が選ぶことはできない。
それら使いこなすか持て余すか、肯定するか否定するかは誰にもわからないのだ。
69: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/29(木) 00:33:39.13 ID:UdBPP3xP0
「……シキ?」
ならば、あたしという存在がこの子にどう作用するのか。
70: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/29(木) 00:34:40.75 ID:UdBPP3xP0
あと一歩何か足りない。
科学は自然現象を観測して噛み砕き、法則の系統樹を打ち立てる為のものだ。
だけどこの場合、雪を呼ぶ少女の心を晴らすには、もう一つの飛躍が必要になりそうだった。
71: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/29(木) 00:35:23.70 ID:UdBPP3xP0
来訪者はフレちゃんでもプロデューサーでも、他のみんなでもなかった。
その大柄なおじさんは、とても複雑なカオをしていた。
72: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/29(木) 00:36:27.75 ID:UdBPP3xP0
お前の望みを尊重したい気持ちは変わらない。
東京のニュースは逐一チェックしていた。
けれど、もう限界だ。
73: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/29(木) 00:36:57.76 ID:UdBPP3xP0
――――ああ、そっかぁ。
74: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/29(木) 00:37:56.85 ID:UdBPP3xP0
「パパ! でも、アーニャは……!」
「そのひとの言う通りだよ」
75: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/29(木) 00:38:44.27 ID:UdBPP3xP0
アーニャちゃんは何か言いかけて、でも口をつぐむしかなかった。
彼女の手を優しく、だけど力強く引く大人の手。
きっと温かいのだろうなと思う。
76: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/29(木) 00:39:55.85 ID:UdBPP3xP0
似ていると思った相手は、深いところで決定的に違った。
残されたのは、帰る場所のない雪だるまだけだった。
そんなものだ。
77: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/29(木) 00:40:56.40 ID:UdBPP3xP0
またお腹の底で悪い虫がぐるりと蠢動する。
大した理由もなく、どこかへ行きたいなぁと悪魔が誘惑する。
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