14:1[saga]
2018/03/17(土) 23:56:37.58 ID:Kkr9l5xs0
11.
…………不細工な顔。
コンビニのトイレで手を洗っていた。
酷いクマ、半開きな目、ボサボサな髪、唇もガサガサだ。
クラスのみんなが心配するのも当たり前だよね。
適当にリップクリームや漫画を買ってコンビニを出た。
「お客さん!」
店員の若い女性が追いかけてきた。
「財布! 忘れてますよ!」
私はポケットに手を入れたが財布の感触がない。
「……ありがとう、ございます」
背の高いその女性は、屈んで私に目線を合わせて言った。
「大丈夫? 顔色悪いみたいだけど」
私は頷いた。あまり今の顔を見て欲しくなくて、私は俯いていた。
「そっか。中高生だよね? こんな時間に出歩いちゃ補導されちゃうよ」
気をつけます、そう言ったつもりだが、多分掠れて言えなかった。
「気をつけて帰ってね。これ、おねえさんのおごりだから!」
温かい、おいしそうなコロッケだった。
女性は私がお礼を言う前にじゃあね、と店内に戻って行ってしまった。
「ありがとう、ございます」
数日間ほとんど何も食べていない胃袋が悲鳴をあげた。数日ぶりに感じる食欲だった。
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