少年「俺のクラスは亜人だらけ」
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231:亜人好き ◆HQmKQahCZs
2018/12/14(金) 11:47:33.17 ID:y8iP/2u10
今日の空は曇りだった。重苦しい色の雲で覆われた灰色の空。誰かが色を付けることに失敗したのか。このような色だと感動できない。後で美術部に苦情を言うべきだろう。太陽だって顔を見せていない。俺は太陽をじっと見つめると思わず感動して瞳が緩み涙がぽろぽろと零れるような感動屋なのだ。そんな俺がいるのに顔を見せないだなんてファンサービスが実に足りない。お天道様に顔向けできないぞそんなことじゃ。相も変わらず空は曇天でそれでも俺の夢は極彩色で、ぴかりぴかりと七色キャンバスのようなのが自慢だ。美術部に代わって空に色をつけてやらんと欲す。

少年「――――――あ」

落ちていく最中に窓で自分の姿を見る。鏡の中には落ちていく俺の姿と楽しそうにタップダンスを踊る帽子とそれに踏みつけられてカツカツと鳴き声を上げる靴の姿があった。思わずスタンディングオベーションで拍手喝采の気分だが地に足のついてない俺にはどうやら起立も着席もできないらしい。では空を飛びながら拍手とはいかなることか。いや

あぁ、そうか。

俺に翼はなかった。では飛んではいない。落ちているだけだ。このままどこまで落ちるのだろうか。夜には家に帰らなければならないというのに重力は俺のことが大好きで引き留めてやまない。嫌いではないが困ったものだ。

どうやら生徒会の部屋はかなり高い位置にあったらしい。まだ地面にはたどり着かない。

ゆっくりゆっくりと降りていく。

「貴方!!」

灰色の景色に白色が現れる。

ばさりと広げられた翼は左六右六の計六対十二枚。飛び散るクーポン券。

灰色の中でもしっかりと見えるその白色は本当に綺麗で、元となった存在にそっくりだった。その姿を拝めばエルマ婦人も己の暴虐を恥じることだろう。きっと寿命も延びるに違いない。ありがたや。

天使と俺の距離が近づく。どんどん、どんどんと近づいていく。6対の翼をしっかりと羽搏かせどんどん、どんどん近づいてくる。大逃げを許さない差しの上手いこと。会場に飛び散る万馬券と怒号。お支払いはこちらまで。

「手を伸ばしなさいっ!!」

手を伸ばす。思ったよりも俺の手は短く星まで届かない。あの星の王子様の涙を拭うにはどうやら俺の手は短すぎたみたいだ。日頃の不摂生が祟ったのか。

俺が伸ばした手を天使はしっかりと掴んで空中でひっぱりあげた。

そしてひときわ大きく翼を羽搏かせると進行方向が下から上へ変わる。

空へ空へ上っていくその力に俺の肩が軋んだ。骨と間接の隙間を爆弾で爆破しているように思えるが今日はそんな作業報告を受け取っていない。ルール違反は重大な事故を招くから今後是正してほしいものだ。

突然の方向転換で頭に上っていた血がさっと足のほうへ流れていく。さよなら三角また来て四角、次に会うときはきっと3児のお母さんになっていることだろう。ご祝儀は財布の中身を吸い取っていく。くわばらくわらば

少年「は、れ?」

頭のなかがぐわりと揺らいで俺は再び意識を失った。


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