少年「俺のクラスは亜人だらけ」
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218:亜人好き ◆HQmKQahCZs
2018/12/03(月) 14:56:43.48 ID:KpvaPj/X0
俺は驚いていた。自分自身のミレイアに対する印象の変化に。

今まで感じていたミレイアに対する思いが吐き出された言葉によって塗り替えられていく。

いや、違う。今まで抱いていたミレイアに対する違和感が拭われていくんだ。

いままでいつも強がってばかりのミレイアの行動はどこか動物の威嚇染みたものを感じた。

俺よりずっと強く、俺よりずっと賢く、俺よりずっと高貴で、俺よりずっと傲慢なミレイアに感じていた違和感。

それはミレイアが自分の弱みを隠すために行っていた強がりだったんだ。

男「ねぇ、君」

少年「あんた、あなたはミレイア様の、先生?」

今までミレイアを慰めの表情で見ていた男が俺に話しかけてきた。その表情は悪く言えばなよなよした、情けないような、男らしくないようなものだった。

男「うん。今から甘いもの食べにいくんだけど一緒にいかないかな?」

ミレイア「私の尻拭いなんてする必要ないわよ」

男の提案をミレイアがぴしゃりと遮る。男は自らの優しさを無下に否定されておきながらも不貞腐れずにまた同じ表情のままでミレイアに提案を繰り返した。

少年「あの、何を言ってるんですかミレイア様」

俺は第二種だ。上手くかける言葉もデリカシーもない。人生経験が圧倒的に不足している野蛮人だ。だからこそミレイアの強がりを剥がす。

ミレイア「私が失態を犯した話よ。お父様に報告するには格好のネタでしょう」

自らに責任がないことすら失態と捕らえるミレイアはさぞ生きづらいことだろう。そんなこと誰も責めやしないというのに。

少年「それどう考えても盗んだ方が悪いでしょう。デザート程度まで気を遣うなんて無理ですよ。盗まれるなんて思いませんし」

俺を拾ったあの男なら高笑いして一笑に付しそうなこと。軽くバカにはするだろうがそれでも責めやしないはずだ。むしろそれを肴にワインでも飲みほしそうなのがあの男だ。愉快な話を齎したことを褒めそうなのがあの男だ。

ミレイアに現実を突きつけ否定する。ミレイアの杞憂を否定する。ミレイアは悪くないし責められることはない。逐一ミレイアの自虐を否定すると、ミレイアの瞳から睨みが薄れ徐々に徐々に潤んでくる。

ミレイア「あんた………私のこと嫌いでしょう? すぐ怒るし、わがままだし」

んなわけない。

ミレイアに対する印象はわがままで傲慢で暴力的。

だけど嫌ってなんかいない。

あの広い屋敷にいるのは俺とミレイア、あとメイドだけ。俺を拾ったあの男と、ミレイアの父親はそうそう家にいることはない。

俺を形式的に大切に扱うが雑談にすら付き合ってくれないメイド達。ミレイアを崇め、俺を敵視しているメイド長ユキムラ。

そんな中、俺を弟と呼び、ありのまま接してくれるミレイアは俺にとっての救いだったっていうのに。

嫌うわけがないだろう。本当にバカな姉だ。



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