10:名無しNIPPER
2018/03/01(木) 04:27:07.36 ID:ryKMvAmv0
暫くして、少し硬めに炊き上げた米に鶏肉と刻んだ玉ねぎを加えてバターで炒める、チキンライス作りだ。「材料を混ぜるだけで簡単だからこっちをやりなさい」と言い聞かせたのに聞く耳を持たなかったルビィは玉ねぎで泣き腫らした目で必死にフライパンの卵の具合を見極めている。いつかルビィも誰かに料理を作る日が来るのだろうか、その度にこうして卵とフライパンとにらめっこするのだろうか。真剣な表情で野菜と相対するのだろうか。想像したら再度、面白可笑しい気持ちになった。
今まで、姉妹二人で横に立って台所に立つという事をしてこなかった。けれどもダイヤは何故か、懐かしい気持ちがした。
11:名無しNIPPER
2018/03/01(木) 04:28:18.94 ID:ryKMvAmv0
出来上がったオムライスの味はは可もなく不可もなく、といった塩梅だった。どこか焦がす程の失敗しておらず、店屋物の蕩けるような仕上がりに出来たわけでもなかった。
ルビィ「おいしいね、お姉ちゃん」
卵に完全に火が入りきっていて、少し形の崩れたオムライスをルビィは満面の笑顔で食べていた。共に食べる人が笑顔であれば、食事は楽しい。
12:名無しNIPPER
2018/03/01(木) 04:29:18.96 ID:ryKMvAmv0
洗い物を二人で済ました後、それぞれは風呂に入った。
湯上りで薄いピンク色のパジャマ姿のルビィがテレビの前の埃の被った機械を弄る。機器とテレビのコードを繋ぎ、自動で開いたディスクトレイに一枚の円盤を入れる。
「風呂上がりにパジャマ一枚で居ると湯冷めしますわよ」
13:名無しNIPPER
2018/03/01(木) 04:29:50.35 ID:ryKMvAmv0
日付が変わるころ、既にテレビの前に座り始めてから三時間が経過していた。それでもこのディスクには五時間超の映像が収められており、未だ折り返し地点だった。
始まりから常に二人は目を輝かせて映像に見入っていた。画面の中では徹頭徹尾、十二分なパフォーマンスが披露されていた。声援の声も出したかったが夜分なので二人は控えざるを得なかった。
映像を一時停止し、手を組んで腕を伸ばして固まった体をほぐす。普段ならとうに寝ている時間だけあって、少し眠気を感じていた。
14:名無しNIPPER
2018/03/01(木) 04:31:44.08 ID:ryKMvAmv0
「はぁ……全く…」
居間に戻ったダイヤは溜息をついた。戻って来て見たのは毛布に包まり、すうすうと寝息を立てる妹の姿。寝ぼけ眼になっていたルビィを見た時点で半ば予想していたことだった。
こうなったら梃でも起きることは無い、長年同じ屋根の下で住んでいる以上、分かりきったことだった。
15:名無しNIPPER
2018/03/01(木) 04:32:13.20 ID:ryKMvAmv0
「おやすみなさい、ルビィ」
16:名無しNIPPER
2018/03/01(木) 04:33:05.47 ID:ryKMvAmv0
おわり
お泊まり選挙、よければ黒澤姉妹に清き一票をよろしくお願いいたします。
17:名無しNIPPER[sage]
2018/03/01(木) 08:54:17.33 ID:zqld8vMs0
乙
暖かい気持ちになった
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