91:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/20(火) 01:58:08.74 ID:PoruoH2d0
「まったく、助手も何をやっているんだか……」
「……驚きました。助手さんがあんなに大声を出すところは初めて見ました」
「私もですよ。普段からおとなしくて、感情を表に出さないタイプですからね」
博士さんはとしょかんの壁に開いた穴を見ながら言う。外はとっくに夜になっていて、丸い月が空に昇り始めていた。
「…………助手を悪く思わないでやってください。あいつにもいろいろ思うところがあるのです」
「悪く思ってなんかいませんよ。助手さんがぼくたちのことを真剣に考えてくれているのが伝わってきましたし」
「……かばんは優しいのですね」
「え、いや、そんなことは……」
珍しく博士に素直に褒められて、ぼくがたじたじになっていると、博士はふふっと笑った。
「あのはしごを登れば、屋根の上に行けるのです。おそらく助手はそこにいるはずです」
「私よりおまえの方が、話しやすいこともあるでしょう」
博士はぼくの方を向いて言った。
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