41:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/20(火) 01:21:26.80 ID:PoruoH2d0
かばんちゃんが向かった先には――暗くてよく見えないけれど――大きな木が一本、真っ直ぐそびえ立っていた。バスからだいぶ離れた位置にあるこの木は、さばんなちほーに生えているものと同じか、あるいはそれ以上の大きさだ。
「ここは…………」
「さっき見つけた場所なんだ。今日はここら辺で寝ようか」
何を言い出すんだろう、とずっとどきどきしていたのに、かばんちゃんはランタンの明かりを消し、自分のかばんを枕にしてさっさと寝そべってしまった。
私もすぐさま横たわる。
「見て、サーバルちゃん。空がすごく綺麗だよ」
かばんちゃんに促されて上空を見ると、呼吸も忘れてしまうくらい綺麗な星空が目に飛び込んできた。
その美しさに私は息を呑む。
「ほんとだ……すごい」
「これをサーバルちゃんに見せたかったんだ」
「私に? もしかして私のために連れてきたの?」
「うん。かみひこーきだってそう。サーバルちゃんと遊びたかったから、図書館で貰った本から紙をビーバーさんたちに切り取ってもらって……」
「えっ、あれって本だったの!? だめだよ! 博士たちに怒られるちゃうよ!」
「博士さんは『われわれからのお礼なのです。かばんの好きに使うですよ』って言ってたし……ぼくはサーバルちゃんを元気にしたくて、自分で決めて使ったから、怒らないと思うよ」
「そうかなあ……」
「大丈夫だよ。博士さんも助手さんも優しいフレンズだから」
「…………」
「……じゃあ、そろそろ寝るね。おやすみなさい」
「お……おやすみー」
かばんちゃんが横を向いたのを見て、私もゆっくりと目を閉じた。
131Res/157.62 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20