73:名無しNIPPER[saga]
2018/04/06(金) 18:17:22.11 ID:LZXIfz580
「やっぱり、なんでもない」
「……」
「……でも、こういうこと。未来くんは分かっちゃうんだね」
「いいや。そういうわけじゃない」
「だって、いつもお見通しだから」
「それは──」
もう一度、彼は逡巡の色を見せた。
しかも、先程よりも明瞭に。まるで何か他のことを思い浮かべているように。
どこかで彼の忌諱に触れてしまったのではないかと思い、慌てて取り繕おうとする。
けれど、それはやはり形をなさなかった。どう謝るかどうかを判断する材料がないのだ。
やがて彼は視線を下に落としつつ、おもむろに話を始めた。
「そういうのは、思い込みなんだよ。……すべて正しいってわけではないし、
わざわざ推測しなくともわかりやすい人は本当にわかりやすいんだ。
それに、恒常的に嘘をついている人なんてフィクションならともかく現実にはそういないから……、
逆の意味で一貫しているというか、意識せずに出る言葉はそこまで簡単に揺れ動いたりはしないはずなんだ」
だから見通しているとは言えない、と彼は首を横に振る。
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