256:名無しNIPPER[saga]
2018/08/09(木) 15:48:09.91 ID:ZdvxIxQI0
「……あの、いや、まって」
「……」
「えっと、その……ここ外だし」
と言いつつも奈雨は僅かにこちらに顎を突き出して、ゆっくりと目を閉じる。
「……なにしてんの」
「……」
「……奈雨?」
混乱しているんだろう、と思った。
俺だって混乱している。彼女といて心を乱されていないときはほぼないけれど、今は特別そう感じる。
──わたし、お兄ちゃんのこと好きだよ。
ついさっき言われた言葉が頭の中で何度も反響する。
そしてその度に心臓が波打つ。自分のものじゃないのではないかと思うくらいに。
疑いようがないまでの好意を感じていたとしても、それを言葉にされるのとされないのとでは全く違うのだ。
俺がそうなのだから、奈雨もきっと同じなのだと思う。
とそう思ってしまうのは暴論か──べつに、というより無論、いまさら翻すつもりはないけど。
341Res/257.77 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20