257:名無しNIPPER[saga]
2018/08/09(木) 15:48:57.08 ID:ZdvxIxQI0
「あのさ、奈雨」
と、俺は彼女の名前を呼んだ。
目を合わせて気持ちを伝えたいと思った。
だから、彼女が目を開くまで待つことにした。
体感では長い時間のように思えたが、おそらくかなり早く彼女は片目を窺うように開き、そしてもう片方の目を開けた。
いつの間にか準備していたはずの言葉はどこかへ消えてなくなってしまっていた。
言いたいことはシンプルに。
まず言ってから、それにまた言葉を重ねればいい。
「俺は奈雨が好きだよ」
昔からずっとそれだけを言いたくて、けれど、今の今まで言えずにいた。
待っているつもりが、逆に待っててもらっていた。
……いや、お互いがお互いを待っていて、待っててもらっていると思っていた。
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