255:名無しNIPPER[saga]
2018/08/09(木) 15:47:30.98 ID:ZdvxIxQI0
俺は何と言えばいいのだろう。
ため息が出そうになる。のを抑える。
その様子を見たのか見てないのか、奈雨はわざとらしくため息をついて、
「わたし、お兄ちゃんのこと好きだよ」
と少し拗ねたように言った。
言葉が頭に入ってくると同時かそれよりも少し遅く、するりと手元から傘が落ちた。
一拍かそこらの間ができて、慌ててそれを拾い上げようとすると、同じくそうしようとしゃがみ込んだ奈雨と手のひらが重なる。
「あ……」
と声を上げたのは奈雨の方で、すぐにぱっと手を引っ込められる。
そして顔を上げてから気付く。手だけじゃなく顔も近い。
かあっと耳まで赤く染め、奈雨は俺の口元をまじまじと見て、平静を失ったようにあたふたしながらのけぞる。
俺はその、彼女の遠ざかっていく肩を、半ば無意識につかんだ。
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