9:名無しNIPPER[saga]
2018/02/06(火) 01:39:42.71 ID:kLIsZwOI0
「君は何をしているんだ」
咄嗟に振り返った。
「誰!?」
10:名無しNIPPER[saga]
2018/02/06(火) 01:40:33.01 ID:kLIsZwOI0
顔に青筋がたっている。本格的にまずそうだ、BNKRGは身構えた。
だが、一瞬後には間合いを詰められスプレーのようなものを嗅がされていた。
狭まる視界。落ちる意識。BNKRGは、君にはそれ相応の罰を受けてもらおう、という声を耳にして意識を失った。
11:名無しNIPPER[saga]
2018/02/06(火) 01:41:09.50 ID:kLIsZwOI0
意識を取り戻したBNKRGは困惑した。裸にされ、ベルトで雑にベッドに固定させられていたからだ。
移動させられた先は分からない、しかし触れる空気が温かい事から外ではない事は分かった。
12:名無しNIPPER[saga]
2018/02/06(火) 01:42:06.37 ID:kLIsZwOI0
「そうだ、動物がいい」
「君は野獣になっていじめられたうちの子の気持ちが初めてわかるんだ」
誘拐犯が振り返った。目を見開いている。瞳孔すら開いてそうだ。
首に何かが刺される。注射…?体が変だ。頭がくらくらする。鈍痛がする。
13:名無しNIPPER[saga]
2018/02/06(火) 01:42:53.27 ID:kLIsZwOI0
走り疲れてBNKRGは路地裏に逃げ込んだ。昼に雨でも降ったからか、路面には水たまりがいくつもできている。日は暮れかけていた。
自分が何をしたというのだ、ただ野良の猫を狩って食べてただけなのに。BNKRGは落ち着くと同時に次第に腹が立ってきた。
ピチャ、と不意に水たまりを踏んでしまった。冷たさで飛び上がる。が、何かがおかしい。手を振っても水気がなかなか落ちない。
それにいつもより見える風景が低い。
水たまりを見つめる。
14:名無しNIPPER[saga]
2018/02/06(火) 01:44:05.87 ID:kLIsZwOI0
混乱してしばらく何も声が出なかった。顔をひたすら触っては触っては確かめる。確かに猫だ。
「嘘でしょぉー」
続いて間の抜けた声が出た。叫び声というよりは鳴き声であり泣き声だ。目も若干潤む。
15:名無しNIPPER[saga]
2018/02/06(火) 01:47:53.06 ID:kLIsZwOI0
時間切れで薬が切れるという可能性も考え付いたが頭を振って却下した。むしろ時間が経ってしまえば定着してしまう可能性もある。
それに時間制限で薬が切れた場合どうなる?自分は今生まれたままの姿だ。
このまま服を取り戻さず戻ってしまえば、自分の最高級に魅力的な裸体が浮浪者のおっさんや無法者の土方の兄ちゃんに狙われてしまうかもしれない。流石にそれは御免こうむりたい。
つまり先決すべきは元の家に戻る事なのだが……
16:名無しNIPPER[saga]
2018/02/06(火) 01:48:37.77 ID:kLIsZwOI0
「どうもこんちわっす。君名前…君名前なんて言うの?」
背後で声がした。振り返る。そこには茶色く、さわやかそうなオス猫がいた。
そうだ。今のBNKRGは猫だ。猫ならば猫の言葉が分かるのは当然だ。
17:名無しNIPPER[saga]
2018/02/06(火) 01:49:08.76 ID:kLIsZwOI0
「おお、いいねぇその体」
全身をくまなく見られ恥ずかしい。
「俺はGO、この辺の群れのリーダーやってるんだ」
18:名無しNIPPER[saga]
2018/02/06(火) 01:49:43.82 ID:kLIsZwOI0
暗闇からも勧誘の声がする。群れの中からもなぶるような視線をまじまじと受けていた。
思案する。ここで大人数になるのも心強い。群れに入ってじっくり誘拐犯の家を探すのも悪くないのかもしれない。もしかしたらALISONの家を知っている猫もいるかもしれない。
しかしいかんせんBNKRGは先程頭をよぎった『猫の体で定着』という言葉が頭を離れなかった。
「い、いやよ、私他の群れだし」
19:名無しNIPPER[saga]
2018/02/06(火) 01:50:11.05 ID:kLIsZwOI0
「あのさぁ…」
「じゃあ群れの名前を教えてくれるかな?」
「入群キャンセルはキャンセルだ」
「どうして?どうして入ってくれないの?僕が馬鹿だから?僕は馬鹿じゃない!僕は馬鹿じゃない!!」
「これ以上追求したら困惑しちゃう、もういいよ、やばいやばいやばい」
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