六花「勇太をなんとしてでも独占したい!」
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46: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:15:19.81 ID:6rZ5mY140
六花?お前六花なんだよな?お前、今一番言っちゃいけないこと言っただろ。やばい、信じたくない。いやだ、いやだ、いやだ。この世界は邪王心眼に支配されているって思ってるんじゃないのかよ。設定でも本気でそう思っているだろ。毎回周囲に迷惑かけて。長年一緒に居るはずなのにこいつの思考が分からない。明らかに目の前にいるのは六花じゃなくて、六花の振りをした誰かだ。誰かなんだ。俺の六花ならそんなこと言わない!六花はそんなやつじゃない!!でもダークフレイムマスターって言葉知ってるなら過去の俺も知っているのが筋だと思うから。ああ、止めてくれ。すなわち……同一人物……。
でも待ってくれ。ひょっとしたら六花の思い違いかもしれない。
ここは質問をひねり何とか導き出せばいい。
だが頭がくらくらしていいのが思いつかない……。
勇太「お前がほんとにあるって言うから本当なんだぞ!」
六花「嘘」
勇太「闇の力が覚醒してないだけ!いつか目覚めるんだ!」
六花「嘘。だったらもう目覚めてもおかしくない」
勇太「知ってるだろ?不可視境界線、海の向こうで一緒に見ただろう!?」
六花「嘘」
勇太「えっ……。お父さん見たんだろう?」
六花「嘘……」
勇太「いや」
六花「正確には私の作り出したお父さん。この世にはいないって知ってる」
勇太「えっ……」
六花「ないの……」
勇太「あるぞ!あるぞ絶対!」
信じたい!信じたい!夢は夢じゃなくて本当にあるって頭の中で何百回も見たことあるじゃないか!!?証拠があるんだからできるんだよ!中二病はないって言ったけど、今は撤回する!虫が良すぎるかもしれないが今は本気なんだ!できる!
六花「ほんとにその力あるの?」
勇太「も、もちろん!」
六花「ゆうた。最後の頼みがあるの。私に……気づかせてほしいことがあるの……。ゆうたならできると思う。その理屈がほんとにあるってゆうたが言うならそれは本当になるとさっき言ってくれた。本気で覚醒できれば世界が崩壊するのって簡単だと思う」
怖い。怖い怖い。六花の顔を見るのが怖い。行動するのが怖い。誰かに死刑宣告を迫られた心臓の止まる感触がする。目の前がおぼつかない。俺は意図せず震える掌を見る。目の前に光る紋章のようなものは何もない。そうだ、何もないんだ。
六花「それに、私はゆうたを信じてるから」
勇太「俺は……えっと」
何かがなくなるようで怖かった。一秒たりとも行動を送らせたかった。それで時間切れになってほしかった。
六花「お願い。さっさとやってほしい……」
勇太「六花……」
六花「……」
勇太「うん……」
できっこないの現実を見る心と今ならできる期待に苛まれて心の中がぐちゃぐちゃだった。視界がおぼつかない。揺れている。これで全てが決まるんだ。奇跡さえ起こせばいいんだろ。それなのに俺の自慢の右腕は小刻みに震えている。でも覚悟を決めなきゃ理解されてしまう。俺は前に、重い手を、ゆっくり出して、漆黒の深淵の前にかざし、波動を出す準備を作った。肩の上下する様を見て呼吸が整うのを待つ。世界を変えられる、とっておきの必殺技。
勇太「闇の炎に……」
終わってくれ。なくなってくれ。
勇太「抱かれて、消えろーーー!!!!!!!!」
指先を大きく広げて、深淵の先を飲み込むぐらい、血を全力で手に込めた。山びこの反射を受け付けないほどに。血脈がこれほど浮くのかってくらい薄赤い線がよく見える。これが俺の本気だ。世界よ、消滅してしまえ。潰れるぐらいに手を込める。自分が自分に罰を与えているように。痛くて痛くてしかたない。お願いだ、来てほしい。何らかの偶然で、隕石が落ちてきたり、ビームが深淵に放ったり、突然能力が目覚めて、ブラックホールの球体を産み出す、
そんな世界に、
そんな世界に……、

なってほしかった……。
無音。無力にも風すら吹かない。世界の変化は見られなかった。震える手から何も出ない。赤や青の光線が出ない。分かっている。努力不足ですらない。修行すればできるものじゃない。普通の人にない俺だけ特別な力を実は隠し持っているんだと甘い気に誘われて。かっこいいと思って編み出した単なる遊び。最初から分かってたんだ。これは単なる「設定」だ。


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